
- インタビュー記事
外資系食品企業でブランドマネジャーとしてマーケティングを担当。栗山真由子さんが語る「様々な違いを学べる」大学生活の過ごし方とは?
2022年3月4日
「学生時代の学びが社会人になって役立つのだろうか」とふと考えることはありませんか。
「総合政策学部での学生生活が仕事において非常に役立っています」
そう話してくれたのは、学生時代に異文化間コミュニケーションを学び、現在はネスレ日本株式会社の新ブランドであるネスキーノにて活躍する関西学院大学総合政策学部の先輩、栗山真由子さん。
そんな栗山さんが総合政策学部で学んだのは、価値観の多様さと自分で考えることの大切さ。
現在は外資系企業でマーケティングを担当し、消費者の心を掴んで離さない商品を生み出し続ける栗山さんに「様々な違いを学べる大学生活の過ごし方」について教えていただきました。

2002年関西学院大学総合政策学部卒業後、ネスレ日本株式会社に入社、営業本部中四国支社に配属。その後、栄養・健康・ウェルネスのコミュニケーション開発、「ネスカフェ」「ネスプレッソ」でマーケティングを経験し、現在は「ネスキーノ」のブランドマネジャー。趣味は旅行、スキューバダイビング、書道。
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マーケティングで栄養・健康・ウェルネスを届ける

栗山さん、よろしくお願いします。
栗山さん
よろしくお願いします。

まずは自己紹介をお願いします。
栗山さん
2002年に関西学院大学の総合政策学部を卒業後、ネスレ日本に就職しまして20年目になります、栗山と申します。

栗山さんは今、どのような会社で働いていますか。
栗山さん
ネスレ日本株式会社で働いています。ネスレはスイスに本社がある食品企業で、ネスレ日本はその日本法人です。

ネスレでは、どのようなビジネスをしていますか。
栗山さん
ネスレは世界で多数のブランドを所有しております。日本ではコーヒーとチョコレートが有名な会社かと思いますが、元々は母乳の出ないお母さまが多く、乳幼児の死亡率が高かった当時のスイスの状況を何とかしたいと思ったアンリ・ネスレさんが乳幼児向けの乳製品を作ったことが始まりです。
世界的に『栄養・健康・ウェルネス』を大変重要視しているネスレの中で、私はネスキーノというブランドを担当しています。ネスキーノは昨年日本で発売したばかりの新しいブランドです。スーパーフードが取れるスムージーのブランドになっていまして、ネスレのDNAである『栄養・健康・ウェルネス』を受け継いでおります。
※ネスキーノは2020年12月に発売。2021年に行ったインタビューのため、「昨年」とお答えいただいた。

栗山さんは具体的にどのような役職をされていますか。
栗山さん
ブランドマネジャーとしてネスキーノのマーケティング全般を担当しております。大きな仕事を挙げると、ネスキーノが目指すブランド像を考えたり、長期戦略を立てたり、新製品を検討したりします。実務で言いますと、販促やCRMの企画検討から販売の予測まで多岐にわたります。

CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、日本語では顧客関係管理と呼ぶ。顧客の属性などを記録・管理し、顧客ごとに最適な対応をとることで営業活動の向上や経営戦略につなげる。
幅広く担当されているのですね!
栗山さん
そこまで幅広くはないですよ(笑)。でも、自分たちで企画したことを実現できるという意味では、やりがいのある部署かなと思います。

マーケティングのお仕事に興味を持たれたきっかけを教えてください。
栗山さん
きっかけを答えるのは難しいのですが、メーカーで働くうえで商品に関わる部署と商品の魅力を発信できる部署は魅力的だと思ったので、マーケティングの部署を希望しました。
もちろん入社直後からマーケティングの部署に配属されたわけではありません。私が入社した当時は、新入社員のほぼ全員がまずは営業に行きました。私も5年ほど広島で営業をした後に、『栄養・健康・ウェルネス』という会社全体のイメージアップを目指す部署を経験して、その後にコーヒーのマーケティングに関わりはじめました。

マーケティングは重要な仕事であるとともに正解を教えてくれない仕事なので、やりがいもあれば不安もある難しい仕事かと思いますが、いかがでしょうか。
栗山さん
そうですね、やはり会社の思う通りのビジネスにならないときもありますね。

うまくいくときもあれば、そうではないときもあるんですね。
そんなマーケティングのお仕事をしていて楽しい時ややりがいを感じる時はありますか。
栗山さん
マーケティングは商品の魅力を発信する仕事だと思います。消費者の声を聴く機会はあまりないのですが、例えばライブショッピングやインスタライブに出たときに、消費者の方から直接ポジティブなコメントを頂くと、伝わっているんだなと思って嬉しくなります。

直接コメントや感想をもらえると嬉しいですよね!やはり企画の出し方や宣伝の方法によって商品の売り上げが大きく変わる仕事はスケールが大きく、やりがいを感じると想像しますが、実際はいかがでしょうか。
栗山さん
そうですね。小さなコミュニケーションでも受け入れてくださる方がいらっしゃったり、プレゼントキャンペーンをやってみると反応が大きかったりするのですが、このように予想以上の反響が来たときはすごく嬉しいと感じますね。


業界、会社、仕事内容の3点に分けて、働くために必要な準備をお聞きしたいと思います。まずは食品業界で働くためにどのような準備が必要であるとお考えですか。
栗山さん
特にものすごい知識が必要というわけではありません。入社後の勉強で十分ですが、より専門性を高めたい、入社前に準備したいという方は栄養学や食品法規などを勉強すると、より良いと思います。

ネスレさんで働きたいと思っている人はどのような準備をするべきでしょうか。
栗山さん
こちらも特に準備は必要ないと思うのですが、やはり外資系企業ということで会議やプレゼンテーション、資料作りで英語を使うことがありますので、英語に対する拒否反応があると大変かなと思います。

マーケティングのお仕事をしたい人はどのような準備をしたらいいでしょうか。
栗山さん
マーケティングも特に準備は必要なくて、消費者が求めているものや世の中の流れなど、いろいろなことに興味を持っていれば、それで十分だと思います。

関西学院大学総合政策学部は『当たり前』の意味に向き合える場所

総合政策学部での学びは、今どのように活きていますか。
栗山さん
ネスレではいろいろな国の方々と働きますので、ゼミで学んだ異文化間コミュニケーションが非常に役に立っていると思っています。
異文化間コミュニケーションで大事なことは、『自分が当たり前だと思っていることを相手も当たり前だとは思っていない』という考え方です。日本人同士では、言葉にしなくても分かるでしょという雰囲気がありますが、例えばアメリカの人たちは言葉にしないとなかなか伝わりません。このように、総合政策学部では文化の違いや様々な価値観があることを学び、いろいろな国籍の方と働く現在も、なるべく誤解が生まれない言葉で伝えることを気を付けています。

とても大事なことですね。それでは、栗山さんが学生生活で一番学んだことを教えてください。
栗山さん
学生生活という意味で言いますと、自分で考えることを学べたと思います。高校生までは言われた通りにやることが多いと思いますが、大学生になりますと授業やアルバイトなどを全て自分で決めることになりますので、その点で学びが大きかったですね。これについては仕事も同じで、何事も自分でかみ砕いて自分で考えてみることはすごく重要だと感じています。

最後に今の学生に伝えたいことがあれば教えてください。
栗山さん
社会人になりますと、まとまった時間が取れなくなりますので、今やってみたいこと、今しかできないことは何かということを自分で考えて、行動に移すことがいいのではないかと実感しています。
なかでも総合政策学部は本当にいろいろな方がいる、多様性のある学部だったなと思っていて、この学部での学生生活が仕事において非常に役立っています。ぜひ皆さんも周りの方からの刺激を受けて、学生時代にいろいろなことにチャレンジしてください。


関西学院大学総合政策学部の大先輩である、栗山真由子さん。
ネスキーノのブランドマネジャーとして異文化の社員とも関わり、多様な消費者のニーズに答えられているのは、大学時代に自らの当たり前が当たり前ではないことに気づき、相手の価値観を尊重する大切さを学んだから。
高校生のみなさんは、自分の当たり前と向き合い、相手の当たり前を想像したことはありますか?
今はまだ、その経験がなくても大丈夫。
大学生活で自分で考え、行動し、自分の当たり前が覆される経験をする…。そんな大学生活がまだ知らない文化や価値観を知り、見える世界が広がるきっかけになるはずだから。
<取材=諸富稜(スタジオMOVEDOOR代表)>