
- インタビュー記事
建築を学んだ大学時代を経て、株式会社大林組で建設現場の監督に。尾上俊朗さんが語る大学生活の過ごし方とは?
2022年2月11日
『大学時代は沢山挑戦してほしい』
「この言葉なら人生の先輩から耳にたこができるほど聞いたよ…」と思った方はいませんか。
「やはり、いろいろなことに挑戦してほしいです。特に総合政策学部は挑戦がしやすい学部だと思います」そう話してくれたのは、学生時代に建築に興味を持ち、現在は株式会社大林組で建設現場の監督として活躍する関西学院大学総合政策学部の先輩、尾上俊朗さん。
そんな尾上さんが総合政策学部で学んだのは、自分の興味があることには何でも挑戦する大切さ。
大学時代に挑戦と経験を積み重ね、現在は建設業界で現場監督として奮闘する尾上さんに大学生活の過ごし方について教えていただきました。

平成2年11月、大阪府八尾市に生まれる。関西学院大学総合政策学部都市政策学科卒業。建築士プログラムで建築に興味を持ち、古民家再生や東日本大震災のボランティアを体験し、建築の意義を学び、建設業への道を選択する。株式会社大林組に就職し、安心・安全、そして夢が詰まったワクワクする建物の建設を目指す。
インタビュー動画はコチラ
確かな技術力を持って、夢のある建築を

尾上さん、こんにちは。
尾上さん
こんにちは。

よろしくお願いします。
尾上さん
よろしくお願いします。

それでは、自己紹介をお願いします。
尾上さん
尾上俊朗と言います。2014年に関西学院大学総合政策学部都市政策学科の客野ゼミを卒業しまして、建設業の株式会社大林組に入社しました。

尾上さんはどのような会社で働いていますか。
尾上さん
大林組の仕事は大きく事務系、土木系、建築系に分けられるのですが、僕は建築系の施工というところに所属しています。仕事は、建設工事における現場監督の業務です。現場内の工程や品質、安全、環境、コストを管理しています。簡単に言うと、職人さんと日々作業の調整を行い、決められた期間内に良い建物を作って利益を生む仕事です。

大林組がどのような会社なのか、もう少し詳しくお聞きしてもいいですか。
尾上さん
大林組は人が良いと言われます。理由は、社内での話し合いが多く見受けられるからだと思います。職人さんからも『他の会社よりすごく雰囲気が良い』、『話しやすい』と言っていただけますね。
大林組の実績として一番有名なものはスカイツリーです。スカイツリーを自社だけで建てたことは誇りに思っています。また、今後は2050年までに宇宙エレベーターを完成させることが大きな目標になっています。

お仕事をしていて、楽しい時ややりがいを感じる時を教えてください。
尾上さん
僕の中では4点あります。
まず、思ったより大変で忙しい仕事ですが、その中でも建物が完成した瞬間、建物を引き渡した瞬間は一番達成感があります。また、自分で計画を立てて思い通りの工程で建物が建っていくときが一番気持ち良く、面白い時です。
もちろん良いことばかりではなく、トラブルが起こることもあります。そのときは『うわーっ』となりますが、仕事仲間みんなで話し合って知恵を出しあい解決していくことが楽しいです。また、建設工事の現場監督として職人さんとコミュニケーションを取っていくのですが、休憩時間に『こんな美味しいお店があったよ』、『こんな良いところがあったよ』など、何気ない会話をすることで楽しい毎日になっています。

工事が終わって目に見える形で大きなビルや施設が出来上がったときの達成感は、きっと他の職業よりも大きいですよね!

建設の業界で働くために必要な準備、スキル、知識などがあれば教えてください。
尾上さん
僕の中で4点あります。1点目は、やはりコミュニケーションスキル。2点目はめげない根性。3点目が判断力。建物を建てるにあたって、いろいろな工種と方法があるため、それらを決める判断力が必要です。最後に先見力ですね。天気によって左右される工事では、先を見た工程、計画が大事になるからです。

それらの能力はどうやって身につけていけばいいでしょうか。
尾上さん
学生時代であれば、僕は何事にも挑戦していくことを大事にしていました。例えば積極的にゼミのフィールドワークに行ったり、古民家再生のボランティアに参加して他のボランティア参加者の方と話したりするなかで、コミュニケーション能力が長けていきました。また、長い間一つのアルバイトで勤務した経験から、辞めない根性が鍛え上げられていったと思います。
判断力と先見力は会社に入って働いてみないと分からない部分もありますが、学生時代であれば、どのように単位を取っていくかを考えることで先見力を、この教科を取れば単位が取れるな、こういうふうに勉強すれば単位が取れるなと考えることで判断力を身につけられると思います。学生時代に身につけたこれらの能力は、大林組に限らず、どの会社でも役立つと思っています。


大林組で働きたいと思った理由があれば教えてください。
尾上さん
就職活動でいろいろな会社に面接を受けに行ったなかで、大林組の面接では社員の方がすごく親切にしてくださったことが理由の一つです。また、2050年の実現を目標にしている宇宙エレベーターのように、技術力を持って夢を目指していくところがすごく良いなと思いました。

やはり大きなビジョンを抱えている点が一番刺激になりましたか。
尾上さん
そうですね。この会社は目標を持って動いていると感じました。僕は目標がないとやりがいや達成感は得られないと思っていますし、先ほど述べたように学生時代から挑戦を大事にしていたので、大林組にマッチしていると思ったんです。また、『面談してください』と言うと『良いよ』と言って面談してくれて、すごく良い会社だなと思いました。これらが大林組を受けた理由ですね。


尾上さんが関わったプロジェクトや建設で印象的なものはありますか。
尾上さん
豊洲に作った、魚を扱う新しい市場は印象に残っています。その市場はすごく大きくて、基本的には自転車で移動していたほどです。また、広くて地下もある建設地だったので電話がつながらず、無線を使っていました。無線を使った話し合いを通して、建物をどんどん作り上げていくことはすごく新鮮に感じましたね。さらに、その新市場が入社1年目の現場だったので、『こんな建物をどんどん建てていくのか!』という希望と夢が膨らんだ現場でもありました。すごい立米数で、東京ドームが3,4個は建ちそうなくらい広々としたところなので、苦労したことは沢山あるのですが、すごく思い出に残る現場となりました。

立米数とは、縦×横×高さで計算する、長さの単位がメートルの体積の値。
関西学院大学総合政策学部は挑戦できる場所
総合政策学部での学びは、今どのように活きていますか。
尾上さん
総政は幅広いですよね。幅広い中で自分で選択できるところが総政の良いところだと思います。様々な分野で気づきがあると思うのですが、自分好みの分野をどんどん絞って見つけていき、最終的に特化していくことが総政でのすごく良い学び方だと思います。
僕は建築士プログラムコースに入ったことが、建築を学ぶきっかけになって、そのコースのおかげで今の会社にたどり着けたかなと思っています。

建築士プログラムで学んだことや得たことがあれば教えてください。
尾上さん
建築士プログラムで学んだことは設計です。設計課題が与えられて、与えられた土地や条件によって、建物を建てる授業があり、それによって空間的な考え方が身につきました。また、パソコン上で図面を描いたりするCAD(キャド)も経験しました。CADは設計や施工の会社で使う技術なのですが、大学ではその基本的な能力が身につくと思います。あとは座学。構造や環境など、基本的なことを学んでいくうちにどんどん興味を持ち、建築のことをもっと学びたいと思えるようなプログラムになっていましたね。


学生生活で一番学んだことを教えてください。
尾上さん
先ほどの答えと重なりますが、挑戦することですかね。いろいろな挑戦をしましたが、アルバイトや海外旅行、一人暮らし、ボランティア活動、一人で参加した東日本大震災のボランティアなど、学生時代に挑戦したことのなかで今の仕事に大いに生きていることがあると思います。特に言うと、出会いや技術面、精神面で充実感や達成感を経験できたことが今の僕に活かされているのかなと思っています。


課外活動の中で特に印象に残っていることはありますか。
尾上さん
一人で参加した震災ボランティアです。一人で行ったときは設備も何もなくて、コンビニも近くにないので、懐中電灯もない真っ暗の状態で携帯のライトを照らしながら、時にはタクシーが横切る光を頼りにしながら、ボランティアセンターに行った覚えがあります。ほとんど何も持っていない状況だったので、ボランティアセンターでテントを借りて、テント仲間を作ったり、ボランティアを通して地域の方々と一緒にわかめを選別したりしました。ここで、いろいろと話が生まれて、良い経験になりましたね。
また、ボランティアセンターには夜に行ったのですが、朝になると震災の状況が一目で分かりました。何もなくて、電灯が倒れていたり、ぐちゃぐちゃな状態になっていて…。その光景を目の当たりにして、そんなに建物は脆いのか、建物は人を守っていくことにすごく使命感があるものなんだなってこと。人の温かさやどんどん復興していくなかで人の力強さも体験できた震災ボランティアの経験は今に活かせていると思っています。


今の学生に伝えたいことがあれば教えてください。
尾上さん
やはりいろいろなことに挑戦してほしいです。特に総合政策学部は挑戦がしやすい学部だと思います。その挑戦、経験が人生で何かの糧になり、新たな目標ができ、最高の結果につながると思いますので、挑戦するようにお願いいたします。失敗しても死にはしないと思って挑戦することが成功につながるはずです。

建築学部が新しくできた神戸三田キャンパスの人にとっても、とても参考になるインタビューでした。貴重なお時間を頂きましてありがとうございました!
尾上さん
ありがとうございました。


関西学院大学総合政策学部の先輩である、尾上俊朗さん。
建設現場の現場監督として目標を持って働くことができるのは、何事も挑戦し、特に興味を持った建築分野で更なる経験を積み重ねた学生時代が今に活きているから。
高校生のみなさんのなかには、挑戦したい気持ちがあっても、なかなか行動に移せない方がいるかもしれません。
今はまだ、挑戦できていなくても大丈夫。
でも、気持ちを行動に移したからこそ得られる経験が必ずあります。挑戦したい気持ちを後押ししてくれる総合政策学部で『挑戦』しませんか。そこで得た経験が人生の糧になるはずだから。
<取材=諸富稜(スタジオMOVEDOOR代表)>