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  • インタビュー記事

30万人を超えるグローバル企業の採用を担当する青井さんが伝える「大学時代に、これだけは絶対にすべき!ということ」とは?

2021年11月18日

「大学時代に、楽しい事だけでなく苦しんだ人こそ、社会に受け入れられる人間になる。」

そう話してくれたのは、現在、デロイトトーマツグループという30万人を超える大企業で人材採用をしている関西学院大学総合政策学部の大先輩である、青井孝之さん。

大学時代にゼミの友達と喧嘩をして、揉めながらも、仲間と徒党を組んで成し遂げた経験を糧にし、今でも昔の熱を忘れず仕事ができていると話してくれました。

大企業の人事として、新卒採用も中途採用も合わせて年間何千数百人の採用面接を担当する青井孝之さんに、「社会に羽ばたく前の学生が大学時代にすべきこと」について教えてもらいました。

【青井孝之】
総政5期生、6期卒。2004年に新卒で日本ヒューレット・パッカード社にアカウントセールスで入社、3年程度で希望して人事に異動、採用を中心に人事を経験。その後、2009年に現職のデロイト トーマツグループに入社、その後は人事経験が約12年。人事制度や人事企画、人材開発から採用まで全般を経験。現在はマネジャーとして主にアドバイザリー・コンサルティング部門の新卒と中途採用両方を管理している。

インタビュー動画はコチラ

デロイトトーマツグループが行う事業領域

青井さんは今どんな会社で働かれているのですか?

青井さん

デロイトトーマツグループという世界で30万人を超えるグローバル企業で働いています。

そうなんですね!デロイトトーマツとはどんな業界・業種の会社なのでしょうか?

青井さん

幅広いんですけれども、主にビジネスコンサルティングです。
しかし、元々は会計監査をしていました。それこそ5000人くらいの会計士の方がいらっしゃいます。

そんなにも、いらっしゃるんですか!

青井さん

はい、その会計監査という事業内容のために、会社経営の相談を受けるようになり、経営コンサルティングをするようになりました。今ではさらに広がり、ITを使うITコンサルティングや、会社売買(M&A)のアドバイザリー等様々な業務を行っています。

どんどん事業領域が広がっていったのですね。

青井さん

まとめると、今は会社の経営コンサルティング全般と会計監査という形で、事業会社の事業支援のあらゆる領域を広く行っているという会社です。

ありがとうございます!本当にマルチに事業領域を広げられているんですね。

デロイトトーマツグループのボランティアに参加したときの写真

人事としての業務と仕事に対するやりがい

青井さんが行っているお仕事について詳しくお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?

青井さん

はい、私は人事をしています。人事のなかでも主に、新卒採用・中途採用をしており、一部最終選考も担当しています。

新卒採用に関しては、インターンシップの募集をしたり、選考をしたりしています。

また、説明会も担当しており、そこでは現場の会計士やコンサルタントの方に出てきてもらって、学生の方に会社の説明をしています。

新卒採用は比較的イメージしやすいですね。では中途採用とは、どのようなものなのでしょうか?

青井さん

中途採用に関しては、デロイトトーマツグループはビジネスの領域が広いので、いろいろな業種のプロフェショナルを採用しています。例えば、先ほど話したような会計士の方の中途採用をしたり、会社売買(M&A)の支援をするとなったら金融機関の方にお越しいただくということもします。

最近では、「リスクアドバイザリー」という、会社におけるリスクに関するアドバイスをする方の採用領域を担当しています。この「リスクアドバイザリー」とい領域では、他者のコンサルティングファームも採用しますし、事業会社で事業企画をやっていた人も採用しますし、テクノロジーを使ってガバナンスを効かすためのIT系の人を採用したりもします。

これらのような人材を、年間何千人という候補者の中から何百人という数の方を採用しています。

デロイトトーマツグループのボランティアに参加したときの写真

とてもわかりやすかったです。すごい数の方を採用されるんですね。
採用のほかにも、人事として行うお仕事はありますか?

青井さん

他にも人事の仕事としては、会社の人事制度を整えたり、評価制度を整えたり、業務改善をしたりもしています。

ありがとうございます。めちゃくちゃ業務の幅が広く、スケールの大きな人事という感じで、聞いていておもしろかったです。
では、青井さんがお仕事をしていて楽しい瞬間や、やりがいを感じる瞬間はどんな部分ですか?

青井さん

それで言うと、この会社のビジネスに関わってきます。コンサルタントというのは、世の中を動かしている事業会社の悩みを解決するのがお仕事になるので、ニュースに載っていることや、世の中で起こっていることをだいたいカバーするという形になります。

そういう意味で、最先端のビジネス領域に触れながら、世の中の最先端を追いかけている人たちと仕事ができるというのはとても面白いポイントです。

(なるほど、これはまたスケールの大きな話だ!)例えば、どういったビジネスと関わるのでしょうか?

青井さん

例えば、今だと地球環境・SDGs・ESGなどや、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。これらに関わる最先端の方を採用していく中で、どういう人が必要なのかということを考えて、採用することが重要になってくるんです。

そうすると必然的に、採用に応募してくる人がビジネス領域で優秀な専門家の方が多いので、刺激的な仕事ができて面白いですね。

すごいですね!各分野のエキスパートとずっと一緒に仕事をしていられるというのは、なかなかない環境ですね。

青井さん

そうですね、なかなか面白いですよ。例えば、現場の人に『今どんな仕事をしているんですか?』と聞くと、『新聞記事に出たあそこを裏でやっているんだよ』という話もあったりしますし、政府のデジタル庁ができあがるとその周辺で様々なビジネスが生まれてそこに関わっているということもあります。というように、いろんなことがあるので、すごく刺激的だなという感じがします。

コンサルティング会社で人事として働くために必要な知識やスキル

ボストンに出張したときの写真

コンサルティング会社で働くために必要な知識やスキル・準備などはありますか?

青井さん

コンサルタントになるために必要な力は、物事を秩序立ててロジカルに整理できる力ですね。というのも、コンサルティングでやることというのは、お客様の課題を整理して、問題を解決するための行動をまとめるということに尽きます。逆に、「なぜ高いお金を払ってまでコンサルティング会社にやってもらうのか」ということを考えると、自社ではどうしようもなくなっている状態だからなんですね。

要するに、お客様がコンサルタントに依頼する理由は様々ですが、自分たちでやるとうまく進まないという背景があります。なので、コンサルタントは悩み・課題を論理的に整理して、解決策と取るべき具体的な行動をまとめる力が必要になります。

なるほど。論理的にまとめる力というのは、難しいと思ったのですが、どのようにすれば身に着けられますか?

青井さん

この力を付けるトレーニングは、いろんな物事を考えて整理するということを実践していくことが重要だと考えています。例えば、ゼミでいろんなプロジェクトの課題を抽出して、整理していくことで身に着けていくことができます。

また、コンサルタントになりたいならば、今後はITやデジタルの素養がないと、ビジネスでの課題解決が難しいため、ITやデジタルを上手く使えるようになる必要があると思います。

とてもわかりやすいです。ありがとうございます。コンサルタントに求められる知識やスキルについて理解が深まりました。論理的思考力や、IT・デジタルに関する素養が必要なのですね。
では次は、人事として会社で働くために必要な知識やスキル・準備などはありますか?

青井さん

そうですね。人事の中でも大きく二つに分けられると思います。人事制度を企画・運営する人と、人を採用や育成する人に分かれると思います。というのも、業務の方向性や必要な知識・経験が大きく異なるためで、制度を作る人は社内に目を向け、採用をする人は社外に目を向ける必要があります。

制度を作って運用する人事になるためには、オペレーションや運用実務など、社内の仕組みを回す力が必要です。

採用をするには、マーケットセンスが必要になります。業界のことが分かっていないとそもそも採用できないですからね。また、採用担当に求められているのは適切な人材を募集することなので、マーケットに寄り添い、どのような人が必要かを目的から逆算して考える力が重要になります。

ユニークな仲間と苦しみながら面白いことをした学生時代が、今に活きている

Geordieで学祭をしたときの写真

総政の学びは活きていますか?

青井さん

とても活きていますよ。方向としては、大きく2つに分けられます。勉強と活動です。勉強というのは、英語や論文執筆、ゼミ活動などです。もう一つは活動です。私が入ったころの総政には、とにかく「三田までわざわざ来るなら何かやりたい!」という面白いことをやりたい人が多かったです。

なので、ユニークな仲間とサークルやゼミを通して、意見をぶつけ合いながら語り合いました。そこで、人としての基礎ができたように思います。

もちろん、苦労もしたし、喧嘩もした。毎日、順風満帆でバタバタだった。しかし、それが人物を育てた。そんな風に思います。

実は、社会人になった今でも、総政の大学時代の思い出は残っていて、またあのときのようなことをしたいと今でも思っています。

ゼミで同期生の方が製作した服を着る青井さん

僕もやりたいこと苦しいことやって、そこで話し合ったりというのはとても思い出に残っています。本当に人間としての基礎ができました。

青井さん

そうですよね。ピュアな人間として、総政独特の仲間とぶつかったのは今に活きています。

正直全然楽じゃなくて本当に大変でした。それでも、あのときに苦労して、仲間と切磋琢磨したことは、しみじみと「やれたなあ」と感じます。

とても素敵な体験ですね。青井さんが、人とぶつかり合う経験が大切だと思う理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?

青井さん

はい、新卒の面接をやっていて思うんです。「面接を通っていく人は目が違う」と。すごくエネルギッシュでキラキラした、いい目をしています。そういう人は面接の場で、聞いてて引き込まれるような、しみじみと語れることがあるんです。

結局、新卒採用で知りたいのは、「〇〇をやりました」というネタではなく、その人の人物だけです。なので、いい仲間と苦労して「やったなあ」としみじみ思い、いい目になれる人が、社会に出ても受け入れられていく気がします。

社会に受け入れられるような、いい人材になるために必要なこととは?

Geordieでセミナーをしたときの写真

具体的にいい目をした人になるには、どういうことをする必要がありますか?

青井さん

それは、いい経験をすることです。いい経験とは、楽しいことだけではない。人と揉めて、「違う、そうじゃない!俺はこう思う!俺はこれがやりたい!」と喧嘩もします。ぶつかって初めて「そうか、お前はそういうことを言ってたのか!」とわかる。

そして、「じゃあ一緒にやろうぜ!」って言って一緒にやる。それで一緒にやったら、また喧嘩して、、というように、仲間と本気でぶつかり合って何かをやり遂げた人は、いい目をした人になっていくと思います。

なるほど。そうやっていい人材に成長していくんですね。

青井さん

僕は、総政はそれができる環境だと思っています。「ああだこうだ」と言いながら、仲間と一緒に何かやるということができた。そこを上手く活用して、楽をせずに揉めることからも逃げずにぶつかって、いろんなことをやってほしいと思います。

ゼミで卒業旅行に行ったときの写真

ありがとうございます!他にも、いまの学生に伝えたいことはありますか?

青井さん

もうひとつ学生にやってほしいことは、徒党を組んで何かに取り組んでほしい。総政には、きっと良い人たちがいる。皆さんの周りにいる「こいつすげえな、この人から学べることあるな」と思える優秀な人を見つけて、徒党を組むのが一番いいと思います。そして、一緒に何かをやってほしいと思います。今の時代は昔よりできる幅が広がっていて、学生ビジネスを立ち上げることもできる。なので、どんどん自分の周りにいる人たちと徒党を組んで、喧嘩でもしながら、とにかく揉まれて、何か一つのことをやり遂げるという経験をしてほしいと思います。

社会はそういう人を受け入れたがっていると思います。なので、そうやって育ってほしいし、総政にはそれができる環境があると信じています。

僕もめちゃくちゃ共感します。まさにそういう環境が僕もあったので。
これからの20歳の方にも、ぜひそういう環境が残っていけばいいなと心から思います。正直、本当に揉まれました。

青井さん

そうです、そうです。揉まれている人ほど、やっぱり苦労しているから一言ひとことに重みがあるし、人間味が出てきます。

面接はほんとに誤魔化せないですよね。何をしてきた人か、というのが出ますよね

青井さん

(深くうなずきながら)めちゃくちゃ出ます。もっと言えば育ちから出ます。なので、日ごろがいかに大切か。ボーっと過ごさずに一つひとつを意識して、「どうすれば、目標に到達できるだろう」と毎日考えながら、大学を4年間過ごすだけで、大きく変わってくると思います。なので、総政をうまく使ってぜひ苦労しながら成長してほしいなと思います。

関西学院大学総合政策学部の大先輩である、青井さん。

学生時代を過ごした総合政策学部では、仲間と全力でぶつかり絆を深め合うことができ、その経験が今に活きていることを語ってくださいました。

大学という場所は、学術的な知識だけでなく、学び方や生き方の土台を模索しながら築いていける場所でもあるのかもしれません。

みなさんが枠組みにとらわれない大学生活を通して、たくさんの経験と失敗から多くを学んでいけますように。

<取材=諸富稜( 22期生 )>