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  • インタビュー記事

東京の銀行員から兵庫県庁職員に。赤松克之さんが語る、将来の選択肢が広がる大学生活の過ごし方とは?

2021年11月17日

「学びたいことが決まっていないのに大学に入ってもいいのかな」と進学を躊躇っていませんか?

「自分の意思で行動できる初めての期間を大切にしてほしい」

そう話してくれたのは新卒で東京の銀行に就職後、転職をして現在は兵庫県庁職員として活躍する関西学院大学総合政策学部の先輩、赤松克之さん。

赤松さんいわく、学生時代の時間は戻りたいと感じるほど、とても大切だったそう。

そんな赤松さんが総合政策学部で学んだのは、物事に対するアプローチの仕方。

幅広い分野を学び、さまざまな文化に触れた学生時代を経て、現在は公務員として兵庫県民を支える赤松さんに「将来の選択肢が広がる大学生活の過ごし方」について教えていただきました。

【赤松克之】
1975年兵庫県太子町出身 阪神淡路大震災の時に受験を経験し、地方の国立大学も合格していたが、地元に残りたい、何か新しいことにチャレンジできそう、と思い、総合政策学部に入学。都市政策コースに進み、卒業後は信託銀行に5年勤めた後、兵庫県庁にUターン転職。県庁では、Uターン就職支援や金融関係、まちづくり関係の仕事に従事。趣味:海外旅行、スキー、タイガースの応援

インタビュー動画はコチラ

公務員でも新しいことにどんどんチャレンジできる

赤松さんはどのような職場で働いていますか。

赤松さん

兵庫県庁で働いています。今は、農林経済課というところで、農業者向けの金融制度作りや周知、現在であれば、コロナの影響で苦労されている農家さんに資金が行き渡るように広報の仕事もしています。

農林経済課というところがあるんですね!
行政は幅広い業務を担っているイメージですが、赤松さんは主にどのような業務を担当されてきましたか。

赤松さん

事務職で採用されているので、これまでいろいろな部署を経験しました。

大学で都市政策を専攻していたことも理由かもしれませんが、最も長く携わったのは、まちづくり系ですね。農林経済課の前は公園緑地課というところで県立都市公園の管理などをしていました。

それ以外には、中小企業向けの融資制度をつくる部署や主に大学生向けの就職支援、その中でも特にUターン就職を支援するしごと支援課にいました。私が以前、東京の銀行で働いて、そこから兵庫県庁に入庁したということもあって、Uターン就職の経験談を話せる強みがあったので、そういう仕事をさせてもらえたのかなと思います。

たくさんの部署を渡り歩いて、いろいろな経験をされてきたんですね

それでは、赤松さんがお仕事をしていて楽しいなと思うときを教えてください。

赤松さん

やっぱり新しいことを始めるときは楽しいですね。

先ほど話したUターン就職の支援であれば、兵庫県庁は、私がしごと支援課に配属されたときにちょうど地域創生の取組みとしてUターン就職に力を入れはじめました。当時は東京に何度も出張して、東京の大学の就職課を回り、『兵庫県にはこんなにいい企業があるんだよ』って紹介していましたね。このような取り組みは県庁内で初めてのことだったので携われて、すごい楽しかったですね。

ほかにも、私が担当した兵庫県と大学の就職支援協定も、初めて結ばれた協定だったので、新しいことを始めたという点で楽しかったです。

新しいことを始めるときが楽しいと言えるのはかっこいいですね!

赤松さん

今考えると、総合政策学部には、1995年に一期生として入ったので、新しいことに取り組んで何か実現できたときの楽しさは新しい学部への入学を決めた当時からあったかもしれないですね。

Uターン就職支援の様子

安定したイメージがある行政ですが、赤松さんのように沢山のチャレンジも行える職場になっているのでしょうか。

赤松さん

そうですね、おそらく皆さんは『公務員は安定してる、残業は少ない、給料がちゃんと出る』というイメージを持たれていると思います。もちろん、これらも事実ですが、兵庫県の場合は知事も変わり、『どんどん新しいアイデアを出してほしい』と言われているので、自分の思っていることを発言しやすい雰囲気は出てきていると思いますね。

公務員は法律の枠に囚われて、なかなか新しいことをするのが難しそうですが……

赤松さん

当然、法律の枠からはみ出すことはできませんが、なかには解釈次第で幅広いことができる設定になっている法律もあります。だからこそ、公務員は法律の枠があるなかでも自分からアイデアを出して進めていくことがまだまだできるフィールドだと思います。

よく言われるのが、『前例主義』。『前例がないなら、自分で前例を作ればいい』という考えです。この考えを持っていれば、これから公務員を目指す人たちのフィールドはどんどん広がっていくと思います。

だから、公務員は固い職業だとか、いろいろなイメージがあると思いますが、そういった枠に囚われずに、地元に貢献できる一つの仕事として考えると、アイデアがどんどん出てくるし、何でもできるんじゃないかなと思います。

なるほど、自分で前例を作るという考えは、新しいことを始めるという先ほどのお話につながりますね!

公務員の仕事に関心はあるけど、何から始めればいいか分からないという学生は多いと思います。そこでお聞きしたいのですが、兵庫県で働くにはどんな準備や知識、経験が必要になりますか。

赤松さん

公務員試験を受けないと公務員にはなれないので、試験勉強は絶対に必要です。新卒採用ですと、法律の知識などを勉強するための予備校や参考書があるので、まずはそこを取り組まなければ、筆記試験通過後の面接に行くことができません。

ただ、私は経験者採用という試験で入っているので、まともな公務員試験勉強をしていないんですよね。私が入庁したころは、社会人経験者は一般常識があるだろうということで、人物面を見られていたような気がします。主に面接とグループディスカッションで評価されていたんじゃないかな。

筆記試験後に面接もあるということですが、筆記と面接はどちらが重要でしょうか。

赤松さん

兵庫県は最近、試験のやり方が変わって、筆記重視から面接重視になってきています。筆記のほうは法律などの知識がある一定レベル以上あれば、あとは人物像、つまり面接などで選ばれると思いますね。

面接対策も大切になってきそうですね。それでは兵庫県庁で働くために、試験対策以外で経験しておくといいことがあれば教えてください。

赤松さん

学生時代は、サークルやいろいろな学生活動がありますが、そこで成し遂げたことや役割のすごさというよりは、自分のやったことをしっかりと自分の言葉で言える準備をしているほうがいいと思います。私は学生時代に写真好きということもあって卒業アルバム委員会を担当したんですが、県庁ではなく別の会社で受けた新卒の面接では、その委員会の話をしましたね。

何をしたかを自分の言葉でしっかり言える人。民間の会社を経験した私から言うと、これは兵庫県だけに限らず、どの仕事でも求められます。あとは、学生時代にしたことが会社や県庁でどのように生かせるかをちゃんと説明できる準備も必要かな思います。

ほんとにどの会社を受けるにしても重要な準備ですよね。とても参考になります!

関西学院大学総合政策学部は「物事に対するアプローチの仕方」を学んだ場所

総合政策学部での学びはどのように活きていますか。

赤松さん

総合政策学部のモットーでもある、ーThink Globally Act Locallyー(地球規模で考え、足元から行動を起こせ)。これは、すごい大切な視点だと今でも思っていて。

時間軸で考えたときに、短期的な視点ではなくて、長期的な視点で物事を見る。これはーThink Globally Act Locallyーの一つかなと思います。長い視点で物事を考えて、まずは目先のことからどんどんどんどんチャレンジしていくことは重要だなと常々感じます。

行政であれば、先ほど話したUターン就職は、兵庫県の人口を少しでも増やそうという長期的な視点があって、そのためにまずは短期的な視点として現時点で行う政策立案が必要だったので、Uターン就職が考えられました。そういった視点は総政の学びが良く活きているかな。

実際の政策立案で大学の学びが活かされているんですね!

赤松さん

そうですね!ほかにも、基本的なことですが、私が大学に入った1995年は、そこまでパソコンが普及していませんでした。みんなが携帯電話も持っていないような時代だったんです。

そのなかでも、総合政策学部は1995年時点で長期的な人材育成の視点があったように思います。具体的に言うと、総合政策学部は情報教育や英語に力を入れていました。英語と情報教育は今もこれからも絶対に必要な知識なので、このような基礎知識はすごい役立っていると感じます。

それでは、学生生活で一番学んだことは何ですか。

赤松さん

物事に対するアプローチの仕方です。ーThink Globally Act Locallyーだけじゃなくて、文理の枠にとらわれず、個人的な視点にも固執せずにいろいろな意見を取り入れながら勉強していく点はよかったのかなと思います。

あと、学生は自由な時間もあるので、時間にルーズになってしまう悪い面はあったとしても、自分自身で行動していけるという面ではすごい良かったなと今でも思います。また学生に戻りたいですね(笑)。

学生に戻りたいと言われる社会人の方はたくさんいますが、それだけ学生生活は貴重な時間だったんですね……。最後に、今の学生に伝えたいことはありますか。

赤松さん

先ほども言ったように、学生生活は自分で考えて行動できる初めての時間だと思います。高校生までは時間割とかいろいろなことを大人に決められて、ちゃんと朝に登校して、勉強や部活をして帰っていましたよね。でも、大学だと自分で授業を選んで、自分で学習する。たとえ授業に行かなくても怒る人はそんなにいない。こんな感じで、自分の意思で行動できる初めての期間だと思うので、この時間は大切にしてほしいです。

今はコロナの影響で海外に行きにくいですが、長期間海外旅行に行ったり、国内でも行ったところがないところに行ったり。ちゃんと学校に行って勉強もしたうえで、自分とは少し離れた地域、文化に触れてみる。これはすごい重要だと思います! 

私は、学生時代に3週間ほど、友達とアメリカに行きました。語学学校にちょっと遊び半分で通って、レンタサイクルを借りてウロウロしたり、行き当たりばったりで飛行機を予約して着いてから宿を予約したり。こういうちょっと冒険的なことは学生だからできたんでしょうね。

アメリカのNYにて撮影

赤松さん

あとは、大学や学部を選ぶときに将来の就職を考えることも大切ですが、総合政策学部は将来を大きく広げてくれるフィールドだと考えます。総合政策学部のなかでも複数の分野があるので、一つの分野を目指して入学するのもいいですし、とりあえず大学に行こうかなっていう人も入学後に興味分野がどんどん広がって、最終的には学びたい分野が分かってくるのかなと思いますね。

素晴らしいメッセージをありがとうございました!

赤松克之さん、ありがとうございました!

関西学院大学総合政策学部の1期生である、赤松克之さん。

兵庫県庁職員として決められた法律のなかでも新しいことに貪欲に取り組めるのは、学生時代に培った視点と経験が後押しをしてくれるから。

高校生のみなさんは、「大学に進学しても学びたいことがない」、

「将来やりたいことなんてない」と悩んでいませんか?

今はまだ、自分のやりたいことが見つからなくても大丈夫。

さまざまな人や文化に触れ、新たな知識を得られる学生生活を通して、知らない自分にきっと出会えるはずだから。

<取材=諸富稜( 22期生 )>