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  • インタビュー記事

総合政策学部での学び方が自分の生き方に。古家さんが語る「やりたいことの見つけ方」とは?

2021年10月31日

「大学で学びたいことがまだよく分からない…」
「将来やりたいことがない…」

進路選択において、そのように悩む高校生は多いのではないでしょうか。

「最初は第一志望ではなかった総合政策学部での学び方が、結果的に今の自分の生き方に繋がっている」と話してくださったのは、現在フリーランスのデザイナーとしてクリエイティブ制作を手がけながら、コワーキングスペースの運営も行っている古家良和さん。

多岐に渡る事業に携わりながら地域やお客様の課題を解決している在り方は、大学時代から一貫しているそうです。そんな古家さんに、関西学院大学総合政策学部での学びや、現在のお仕事との繋がりについて教えてもらいました。

【古家良和】
デザイン事務所TSUGINI 代表 / デザイナー / カメラマン
古家良和

大阪府堺市出身。兵庫県三田市在住。
関西学院大学 総合政策学部 メディア情報学科 ティヘリノゼミ 2014年卒。
SPS AWARD受賞。
在学中に神戸三田キャンパスのWEBメディア「KSC-Life」を運営。

卒業後は大学職員として、学生コーディネーターを務める。イベントの企画運営、学生プロジェクトのサポート、広報業務を担当。

2015年、24歳で独立。三田市を中心にWEBデザイナーの仕事を始める。2019年から三田市にコワーキングスペース「OFFICE CAMPUS」の運営を始める。

所属:関西学院大学総合政策学部同窓会、三田市商工会青年部、三田市観光協会

インタビュー動画はコチラ

フリーランスとして三田市の課題解決に携わる楽しさ

さまざまな事業を同時に手がけていますが、どうしてこのような活動に至ったのでしょうか?

古家さん

もともとは、デザイン事業やコワーキングスペース運営をしたいというよりも、課題を解決したいという目的がありまして。

ずっと三田市で仕事をさせていただいてきたんですが、お世話になった方や、地域の方が困っていることを解決をしたいと思っていました。

古家さん

それがたまたまホームページを制作するというデザインのお仕事だったり、いろんな人とつながれる場所をつくるというコワーキングスペースの運営だったり、地域の方の課題と自分のできることが結びついてこのように至りました。

目的があって、そのなかで選んだ解決策が今のお仕事なんですね。

古家さん

あとはいろんなことに興味を持ってしまったり、自分のスキルを磨きたいとも思っていたりというような性格でして、「これ自分ができるかも」と思ったら色々やってみた結果、このような仕事を今はしています。

そうしたお仕事をしていて、どんなときに楽しさややりがいを感じますか?

古家さん

まず、会社員ではない働き方として楽しいなと思うことは、自分で決裁できることです。自分の考えをそのまま自分のペースで進めていくことが心地いいというか、自分にすごく合っているなと思っています。

古家さん

あとは個人事業主として活動していると、自分と同じように個人事業主としてお仕事をされている方がお客さんになることも多いんですが、自分と似たような感覚を持っている、気のあう友達とも知り合う機会が多いのも、楽しいなと思います。

前職は組織に所属していたんですが、それとは違った楽しさが今あるなと多います。

組織で働いていたこともあるからこそ、より違いを実感されているんですね。

古家さん

あと、クリエイティブのお仕事だと課題に対して解決策を提案するんですが、自分は企画のアイデアを考えるのがすごく好きで。それが思いついたり、形になったときは時間も忘れて熱中してしまって、ああ自分は今すごく楽しい生き方してるんだなと思ったりします。

お話を聞いていて、めちゃくちゃ楽しさが伝わってきました!

古家さん

よかった!笑

フリーランスのクリエイターとして働くためには、どのようなことを準備する必要があるのでしょうか?

古家さん

1人で仕事をするのは、もし間違いがあったとしても周りに指摘してくださる方がいないところが組織で働くのと違う点かなと思っていて、そのため自分で学ぶ力が必ず必要だと思っています。自分で積極的に新しい情報を得ていかないと生き残れないなと…。

古家さん

またデザイナーやクリエイティブ系であれば、普段から常に良いものに触れておくことや時流を知っておくことも大切だと思っています。そうして普段身につけたものが自然と自分の制作するものにも繋がってくると思うので、常に意識するようにしています。

自分で学ばれているからこそ、自分で決裁しながら事業を進めていけるということなんですね。

古家さん

そうですね…!

関西学院大学総合政策学部で学んだ「やりたいことの見つけ方」

総合政策学部で学んだことは、今どのような形で活きていますか?

古家さん

多角的な視点から課題を解決するという総合政策学部らしい在り方が自分にすごく合っていて、今の仕事のやり方にも根付いているなと思います。

例えばホームページを制作したいという案件に対しても、どう制作しようかではなく、そもそもマーケティングや組織から変えたほうがいいのかもしれないし、もしかしたら文化的に地域の特性が関係しているのかもしれないなど、いろんな視点から物事をみる意識がついているのは総合政策学部で得た考え方だなと思います。

こうして別のアプローチの仕方に気づくことができるのも、総合政策学部では経済学・経営学だけでなく、文化人類学、宗教、都市政策もメディアも全部網羅していて、それらを授業で一度聞いたことがあるから、深く勉強していきたい時にもスムーズに取り組めるなと実感しています。

確かに、総合政策学部らしいですね…!

古家さん

具体的な授業でいうと、「サイバー社会論」という授業が本当におすすめです。メディアを手段として課題を解決するというような授業なんですが、自分が今仕事において持っている目的思考はこの授業の考え方からきていると思っています。

「EC(英語コミュニケーション)」という授業もすごいよかったなと思っていて、プレゼンのやり方、メモのとり方、人の話の聞き方など、英語に限らず社会人としての基礎的なスキルが身につけられたのはすごくありがたかったですね。

また「コンピュータ演習」を通してウェブデザインのCSSやHTMLなどを学べたことは、今のホームページ制作の仕事にも繋がっています。この授業が必修科目でなかったら、今僕はウェブデザイナーになっていなかったもしれないとも思います。

いろんな授業があるからこそ、いろんなことに興味をもつことにもつながる、そんな学部になってるんだなと改めて思いました。

学生生活で1番学んだことも教えていただきたいです。

古家さん

これも先ほど話した授業のカリキュラムに通じるんですが、自分のやりたいことを見つける方法を学べたなと思っています。1つの分野を専門的に扱うのではなく、まずいろんな分野に触れられたからこそ、自分の関心ごとが明確になったのをすごく実感していて。

具体的には、どのように実感されたんでしょうか?

古家さん

もともとは国際政策学科からNPOやNGOなどで働きたいと考えていたんですが、1年生の時に受けた国際政策系の授業がなぜかしっくりとこなくて。

でも社会学や心理学の授業を通して、人に関心が出てきて、かつ基礎ゼミの先生がメディア情報学科の方で、メディアがどう社会に影響を与えてきたかを知って、結果的に当初は全く興味のなかったメディア情報学科に進むことにしたんですよね。

古家さん

そこからメディアについて勉強していたら、メディアだけでなくリアルな場づくりも大事なことに気づいて、都市政策に関する知識も欲しくなってきて…というふうに自分の中で興味関心が変化しました。

実際に勉強してみて初めてわかることもありますよね。

古家さん

そうですね。自分がやりたいことを決めてもいいけど、ころっと変わることもあるだろうし…。気づけば大学時代からこれまでずっと、あんまり1つに固執せずにいろんな情報に触れながら生きてきていて、今の仕事もやり方を変えながら興味のあることに柔軟に取り組んでいます。

学部での学び方がお仕事でも本当に一貫しているんですね。

古家さん

あと、いろんな分野を知っていると、指示や管理ができるため人の上にたつマネジメント側になりがちだけど、そこで偉そうになってはいけないと意識していて。

総合政策学部にある「つかえられるためではなく、つかえるために」という聖書の言葉をすごく大事にしていて、誰かの上にたつために幅広いことを知っているんじゃなくて、誰かの役にたつためであることを忘れたくないなと思っています。

いろんな分野に触れてきたからこそ人の上に立てるけど、それぞれ専門的な知識をもった方々への敬意も忘れないというか、そういう姿勢をすごく感じました。

誇らしいKSCブランドをつくるために

今の学生さんに伝えたいことはありますか?

古家さん

誇らしいKSCブランドを作りたいと思っていて。

自分の話になると、もともと社会学部を第一志望にしていて、結果的に総合政策学部に入ることになったんやけど、最初は編入したいと思っていたくらい三田に行きたくないと思っていて。でも次第に三田が好きになって、周りも三田キャンパスでよかったという声を聞くようになって、大学時代に三田キャンパスを盛り上げようという団体を立ち上げたこともありました。

古家さん

そのとき三田キャンパスに愛着をもつ人が一定数いることを実感して、そのことに可能性も感じていました。KSC出身やねんって言いたくなるようなブランドを作りたくて、そうした仲間を増やしたい思いもあって今も同窓会を開いたりしています。

素敵ですね…!

古家さん

あともう1つメッセージとして、自分は会社に就職するよりも個人事業主でやってみたら自分にとても合っていたケースだったんですが、必ずしも大学を卒業したら大企業で勤めることがゴールではないと思っています。それと同じように、もし大学生活のなかで何か窮屈に思っている人がいたら、不安に思わず安心して自分らしくやりたいことをやっていってほしいなと思います。

古家さん

関学生のなかには自分で何かやってみたいと考えている人もいるかと思うので、もし僕と気が合いそうだと感じた人がいたら、コワーキングスペースに来ていただいたり、僕のTwitterやFacebookにぜひ連絡いただけたりしたら嬉しいです。

ぜひ古家さんとどんどん繋がっていってほしいですね。

古家さん

僕自身、三田キャンパスの関学生ともっともっと繋がりたいと思っているので、ご連絡大歓迎です!

居心地ええわ〜と思ってもらえる場所に

フリーランスとして多岐に渡る事業に携わっていますが、今後の展望があれば教えてください。

古家さん

僕の性格上なのか、あんまり将来のことを考えてないというのが正直なところで。今の在り方がすごく居心地いいなと思っているのもあって、今の状態がずっと続けばいいなと思っています。

今後も今みたいに、やりたいことが出てきたら「よしやってみよう!」とすぐ取り掛かったり、例えば「朝活したいな、翌朝からやろう!」だったり、小さなことでも、今の生き方はこれからも変わらないんじゃないかなと思います。

古家さん

具体的なことでいうと、ウェブマーケティング系で戦略を考えていくことをもっとやっていきたいなと思っています。あとは、生きづらく感じている人、何かしらの理由で不登校になっている子たちに寄り添えるような事業も考えていきたいですね。

今後のご活躍も本当に楽しみです!

古家さん

いや〜いつもこうした質問を受けると、もし今後チームをつくって事業を展開していくとなったときに、しっかりとビジョンを語れるほうがいいのかなと課題感を持っているのは持っているのですが、それも自分らしくはないなと…(笑)

ビジョンやミッションを決めきってしまうと、それに縛られてしまうのもありますもんね。

古家さん

このOFFICE CAMPUS(コワーキングスペース)も「ストレスフリーでいよう」というのがコンセプトなので(笑)

それでいうと、コワーキングスペースはどんな場所にしたいと思っておられますか?

古家さん

居心地ええわ〜と思ってもらえる場所にしたいね。仕事場でもなく、友達の家でもなく、適度な距離感のある第3の場所になったらいいなと思っています。

なのでお客さんに対しても、あまり深くは干渉しすぎず、しゃべりたいときにしゃべりますし、フランクに挨拶したり、そういった関係性でいます。

古家さん

あと空間作りに関しては、ブランドを作りすぎて敷居が高くなってしまうのは自分がやりたいことではないなと思っていて、古民家を利用するなど空間を少しこだわっているぶん、スタッフに対してはふざけましょうとよく言っています(笑)

すごく古家さんらしさが出ていますね…!古家さんの価値観や魅力が反映された場所になっているんじゃないかなと改めて思いました!ぜひ関学生の方にも利用してもらいたいですね。

古家さん

ぜひ、お待ちしています!

古家さんのお話を聞いていて、自分の好きなことをやっていく自由さと、でもそれだけではなく、しっかりと自分の力を磨き続けてお客さんの課題を解決している責任感と、そうした自由と責任の両方をお持ちの方なんだなとすごく感じました。改めて、貴重なインタビューをありがとうございました!

古家さん

こちらこそありがとうございました!

古家さん、ありがとうございました!

関西学院大学総合政策学部の大先輩である、古家さん。

スキルを磨きながら、地域の方やお客様の課題をさまざまなアプローチで解決している在り方は、大学時代に総合政策学部を通して身につけた学び方に通じているものがありました。

学びたいことが分からない人、大学生活にどんな期待を抱いていいのか分からない人、高校生の皆さんはさまざまな状況にあると思いますが、不安に思う必要はありません。

大学で過ごす時間は想像以上にこれからの人生につながるからこそ、焦らず、ときには回り道もしながら、自分らしく進んでいけますように。

<取材=諸富稜(スタジオMOVEDOOR代表)>